ファームデザインズが歩んできた道

1987年、北海道東部の浜中町で、都会から来た若い夫婦が離農跡地を買取り、自分たちの牧場をスタートさせました。
厳しい自然と闘いながら、彼らの理想の牧場が出来上がったのはそれから15年後のことでした。その後、自慢のミルクを直接お客様に味わって頂きたいと、彼らは牧場の中にレストラン「ファームデザインズ」をオープンします。ファームデザインズとは「牧場でデザインされたもの」「牧場製」という意味です。ある日、有名百貨店の社員が家族旅行でたまたま彼らのレストランに立ち寄ります。そして出されるデザートがどれもおいしいことに驚き、その場で「これらをうちの百貨店で販売させていただけないでしょうか?」と申し込んだのです。それがファームデザインズのスイーツたちが世に広まっていくきっかけでした。彼らが作り出すスイーツたちは数々の賞を受賞し、全国の百貨店で開催される北海道物産展などで引っ張りだこに。そして2011年春、ファームデザインズのスイーツはとうとう海を越えタイ、バンコクにも花開きます。タイの大手ビール会社ブーンロード社がファームデザインズのスイーツをタイに持ってきたいと提携を申し込んできたのです。2012年夏現在ですでに5店舗がオープンし、バンコクではちょっと有名なスイーツ店になっています。この成功を受け、シンガポール、マレーシア、オーストラリアなどから問い合わせが相次ぎファームデザインズは今、北海道からアジアへ、そして世界へと羽ばたこうとしています。

ファームデザインズミルクのこと。「さらっとして、臭みが無く、喉ごしに極上の甘さが残る ファームデザインミルク」

<安心安全な牛乳であるために、餌の自給とストレスレスな環境づくり>

『酪農家に与えた最高の環境』北海道厚岸郡浜中町

北海道の短い夏は酪農家にとって牧草(飼料)を生産する大切な季節。けれども乳牛(ホルスタイン)は、暑さに弱く寒さに強い動物。
北海道であっても30度を越すことも多い日本の夏の強い日ざしは、大きなストレスです。
ところがここ浜中は、霧多布湿原の名の由来となった多霧地帯。牧草が生い茂る夏、霧に守られてホルスタイン達は大好きな牧草をのんびりお腹いっぱい食べることができます。


  • ナショナルトラスト運動で有名な霧多布湿原

  • エトピリカやラッコの観察が出来る霧多布岬

  • 牧草地を覆う濃霧が、夏の日差しから守ってくれる

50ヘクタール(東京ドーム12個分)に僅か50頭の放牧

ファームデザインズのスイーツとなる牛乳は、現在すべて海野牧場産を使用しています。約50ha(東京ドーム12個分)の牧草地で35頭のホルスタイン種の乳牛を育てています。
一頭あたりに換算すると1.4ha(約4000坪)/頭 (一般に北海道での放牧では1ha/頭が必要といわれています)
酪農経営の常識では、面積当たりの搾乳量を増大することが利益拡大の鉄則です。けれどもFDの目指す健康安心安全な総合栄養食品としての牛乳を生産するために常識の1.4倍のコスト(面積)を投入しています。これは、餌である牧草の自給率100%を実現するためです。
安い輸入飼料に頼らず、安心して与えることのできる自前の牧草だけで肥育することを目指しています。

長い冬も快適!ストレスレスなフリーストール牛舎

浜中の冬に緑色はありません。森も牧草地も白黒灰色のモノトーンの世界。牛たちの主食は夏に収穫乾燥した牧草、あるいは乳酸菌で発酵させたサイレージ(発酵牧草)。そして居住空間はいわゆる牛舎へ移ります。
普通の牧場で乳牛たちは、牛舎の中で1頭1頭つながれて飼われます。運動も出来ませんし、食べるところも寝るところも、そして糞をするところまで同じ場所です。もしも貴方のお家がベッド&リビング&ダイニング&トイレだったらどうでしょう。
多くの牛たちはSMまがいの多大なストレスの中で生活しているのです。 当牧場ではフリーストールという牛を牛舎の中でつながず、自由にさせる方式で飼っています。夏の間の放牧地よりは狭いですが、集団生活に慣れている牛たちにとってはつなぎっぱなしにされるよりもずっとストレスが少ない環境です。もちろん天気のいい日は厳冬期でも自由に雪の上へ運動にでられるようにしています。

乳牛の仕事場=ミルキングパーラーへは徒歩通勤

搾乳時間になると夏は放牧地、冬はフリーストールから牛たちはのそのそと自ら歩いてミルキングパーラーへ歩いてやってきます。そこには美味しいおやつが用意されていて、むしゃむしゃと食べているうちに搾乳します。おやつを食べて、搾乳してもらって胸が軽くなったら、また自ら歩いて放牧地やフリーストールに帰ってゆきます。実にのんびりしています。

プロバイオティクスで腸内環境もいい感じ!

ヨーグルトの乳酸菌やビフィズス菌が人のお腹によいように、牛の腸内でも微生物の働きは重要です。病気になりにくく健康な牛であるために、ファームデザインズでは良い働きをする菌(プロバイオティクス)を餌に少し混ぜて補給してあげています。
さらに、プロバイオティクスを給仕された牛糞はとても有効な発酵堆肥に生まれ変わります。放牧地にはその有効な堆肥が循環しているわけです。
自社で管理する健康な土壌で育った安全健康な牧草たっぷりにプロバイオティクス。そして気持ちのいいストレス少ない快適生活!

スイーツ作り←牛乳作り←牧草作り←土作り

土と水と日光によって光合成を行い牧草は成長する。理科の授業で誰でも習います。けれども土とは何でしょう。牧草地の足元の土を手にとってみればそこにはいろんなものを発見することが出来ます。目に見えないほど小さな微生物は1グラムの中に50兆個も潜んでいるといわれます。そして、生物だけでなく石ころ、落ち葉、枯れ枝、動物の死骸・・・。そしてまた目に見えない大きさの微量元素(ミネラル)etc。土壌は莫大な種類のものたちがひしめき合い関係しあって作りあげられているのです。土壌という集合体が活き活きとした健康な土壌であるからこそ、そこに育つ牧草もっているのです。 ファームデザインズでは農薬はもちろん、化学肥料も極力減らして、微生物や植物の力をバランスよく引き出す土作りに挑戦しています。

<ファームデザインズの果たすべき役割>

こんなことを考えています

  • 1. 安心安全な乳製品を一人でも多くのお客様に
  • 2. 小規模家族経営で持続可能な酪農を広めたい
  • 3. そして酪農をカッコイイ仕事に

浜中の牧草で自給することの意味・・・

お米が余って減反を進めてきたのに、日本の食料自給率は低いといわれます。その矛盾の原因の一つが、牛の餌飼料作物の輸入です。
酪農家が売上増大をするには飼育頭数を増やすことになります。一方で所有地は簡単に増やせませんし、北海道であってもアメリカ、南米、オーストラリアなどと土地価格は比べようもありません。
さらに北海道は寒冷であるため沖縄などの南国では年6回収穫できる牧草が2回しか収穫できません。実は北海道の牧草は高くつくのです! それゆえ飼料を輸入品に頼る=食料自給率が下がるということなのです。 農業は命の元である食物の生産であり、単なるビジネスではありません。お金があっても食物が無ければヒトは生きられないのです。ファームデザインズは飼料の自給率100%と無化学肥料での牧草栽培を目指しています。

(有)ファームデザインズは、持続可能な小規模家族経営の酪農に挑戦しています

飼育頭数が少ないことは、労働負荷の軽減につながります。海野牧場では僅か35頭(北海道では小規模)を家族労働のみで飼育し生計が成り立ちます。もっと大きな牧場がどこも経営難に苦しみ、TPP以降はいっそう困難を極めるといわれています。でも小規模でも成立する酪農があるのです。
ファームデザインズは海野牧場とは別の有限会社です。労働基準法の元で社員を雇用し営みます。(今はまだ規模が小さく、経営者の私が厨房に立っている状態ですが・・)35頭の小さな農業で生計が立てられるのは、(有)ファームデザインズが買い取る乳価に由来します。
間違いなく美味しく、健康で、安全な、牛乳であることを、私は身をもって知っています。だから相応の価格で買い取ることが出来るのです。
ファームデザインズのブランドが広く知られ出荷規模が拡大すれば、近隣農家のみなさんにも私たちと同様の方法で飼育していただき、その牛乳を買い取ることが可能になります。私の大きな夢の一つです。そのために、より美味しいスイーツをよりつくり、より多くのお客様にお届けできる販売チャネルを持たなければならないのです。

酪農はカッコイイ仕事だと!いわれたい

大阪出身の私は帯広畜産大学に学び、在学中はログハウス作りに夢中になりカナダのログビルディングスクールにも留学しました。そんな私が選んだ酪農家の道はカッコイイものであるはずでした。しかし実際に就農し周りを見渡せばカッコイイという言葉とはおよそかけ離れた世界・・。
カッコイイ酪農家になりたいし、酪農をカッコイイ仕事にしたい。

<さらっとして臭みが無く、喉ごしに極上の甘さ 自慢のMILK>

さっらっとして臭みのない=絞りたてのMILKの味

浜中のファームデザインズ本店ドリンクの一番人気はもちろんMILK!なんとホットもアイスも315円でお代わりし放題!!
でも、はじめてそのMILKを口に含んだお客様のなかには、意外な表情をされる方もあります。
ノンホモ牛乳に濃厚さを期待されている方がいるのです。
多くの消費者は、絞りたてのMILKを飲んだことがないのですから仕方の無いことですね。
少しノンホモ牛乳について解説しましょう。

ノンホモ&低温殺菌だから、さらっと臭みなく

脂肪乳成分(8~9%)のエマルジョンです。エマルジョンとは溶液中に別の物質が分散して浮遊している状態のことを言います。つまり、本来牛乳は水の中に乳脂肪や無脂肪乳成分の小さな塊がふわふわ漂っている状態であり元来さらっとした口当たりのものなのです。
ノンホモというのはホモジナイズドされていないという意味のノンホモジナイズドの略称です。ホモジナイズドとは自然の牛乳に含まれている乳脂肪の塊である乳脂肪球を、細かいフィルターを通してより小さな粒子に均質化することをいいます。
乳脂肪率が濃厚さに関わるとするならば、ノンホモであることは濃厚さとは無関係なことなのです。ちなみに、牛乳中の乳脂肪率は季節によっても異なります。夏場に生の草を多く食べられる時期は、水分が多くなり、冬場になり乾草主体になると水分が減ります。
そもそも乳は哺乳動物が、急速に成長しなくてはいけない赤ちゃんの栄養源として、必要な栄養成分をバランスよく、しかも噛んで食べることが出来ない乳児にも液体であるため容易に摂取できるのです。それゆえ牛乳は完全栄養食と形容されています。
もちろん、牛と人とでは必要な栄養成分の割合は異なりますので、人の乳と牛乳の成分は微妙に違います。そこで牛乳は授乳期に必要な成分への加工調整が行われ利用されています。北海道の牛乳はおもにこの加工原料として作られています。

完全栄養食品ゆえに加熱殺菌が必要

また、栄養価の高い牛乳は微生物にとっても格好の餌であり、腐敗が進みやすいのです。そこで人類は大昔から牛乳の保存と成分の分離に取り組んできました。原乳から成分を取り分けて、乳児に必要な成分を取り出し成分を調整し、粉末化した脱脂粉乳を作ったり、チーズやバターに加工したりさまざまな加工食品を作って無駄にすることなく貴重な牛乳の栄養を摂取することが出来るようにしてきたのです。
ホモジナイズドという方法は、原乳中の脂肪の固まり(乳脂肪球)を細かなフィルターを通して小さな粒に均質化加工することです。通常はMILKからクリームを取り出した上で、クリームをホモジナイズドし、再度無脂乳固形成分と水とあわせることで製品化されています。
メリットの多いホモジナイズドですが、一方でノンホモ牛乳にも素敵なメリットがあるのです。

ノンホモ&低温殺菌で絞りたてに近い美味しさを!

ファームデザインズがノンホモ&低温殺菌にこだわる最大の理由は、できるだけ絞りたての牛乳本来の味をお届けしたいという思いです。そして実際にそのほうが美味しいのです。

少し難しい話になりますが、ファームデザインズのプリンやチーズケーキの美味しさの根本に関わる話なので説明させていただきます。
ちなみにホモジナイズドされていないミルク(ノンホモ牛乳)の乳脂肪球は意外に大きいものです。ファームデザインズの催事人気一番商品であるソフトクリームにはツブツブがあります。このツブツブこそが乳脂肪球の塊なのです。

低温殺菌で臭みのない牛乳を

先に説明したように牛乳はとても腐敗しやすく殺菌処理が必要不可欠です。一般的には120度以上の高温で短時間(2秒)加熱(高温殺菌)しますが、ファームデザインズでは手間をかけて65度で30分間の加熱(低温殺菌)をしています。
ところで牛乳は高温で加熱すると成分中のたんぱく質が凝固し、焦げたような臭いも発生させます。

味も、臭いも、もとの牛乳とはかけ離れたものになってしまいます。(多くの消費者は絞りたての牛乳を飲んだことはないでしょうから)他にも牛乳の臭みの発生要因はいろいろあるのですが、ノンホモ&低温殺菌という製法は臭いの発生をいろいろな側面から抑えてくれるのです。

牛乳のほのかな甘さを楽しんで欲しい

牛乳中の糖質は乳糖(ラクトース)と呼ばれる物質です。ラクトースは腸の表面にある酵素と反応し、ガラクトースとグルコース(ブドウ糖)に分解され吸収されます。このグルコースはとても甘味の強い唐ですが、ラクトースはそれほどの甘さはありません。牛乳の甘味とは元来ほのかなものなのです。ファームデザインズMILKでこのほのかな甘味を感じることが出来るのは、ノンホモ&低温殺菌により臭いや雑味の発生が極力抑えられているからであろうと考えています。

美味しいノンホモ&低温殺菌ですが・・・

現在の広く普及した酪農スタイルでは、ノンホモ&低温殺菌に挑戦することは容易ではないのです

前提として以下の条件が絶対必要だと考えています、

1.健康な牛の乳であること
2.母牛自体が健康であるからこそ、その乳である牛乳をいただく価値があるはずです。そのためにストレスレスな環境下で安全安心なバランスよく栄養素を含んだ飼料の自給に挑戦しています。
3.牛の健康状態を表す数値の一つに体細胞数という目安数値があります。乳房炎などの病気を発症すると、白血球の数が増えこの体細胞数の数値が上がるのですが、ファームデザインズの牛乳は常に低い数値で推移しています。
4.衛生的な管理が充分な搾乳環境であること 5.多くの酪農現場では牛舎で搾乳が行われています。牛が食事したり排泄したりしている同じ場所で搾乳が行われているのです。もちろん消毒を施しながら細心の注意を払って行われていますが・・。当牧場では、ミルキングパーラー(搾乳施設)を牛の生活場所と別に設けています。放牧地やフリーストール牛舎から搾乳時間になると牛たちが自らのそのそ歩いてミルキングパーラーにやってきます。そして数分間の搾乳を終えると、またのそのそと引き上げてゆきます。こうして搾乳場所を生活の場と切り離すことで、衛生管理がとてもやりやすくなっているのです。
6.日々の清掃清潔の徹底